記事: Journey Lightの完成までに費やした3年間

Journey Lightの完成までに費やした3年間
Journey Light という一本のサーフボードカバーを、ようやく世に出すことができました。構想から数えると、三年もの月日を費やしました。
かなり長くかかってしまいましたが、振り返ると、必要だった時間でもありました。
いつ始まったのか
「よし、作ろう」と決めた特定の日は、私の中にはなく、徐々にでした。
サーフボードカバーは、昔から選択肢がなく、最初は気にもかけていなかったのですが、徐々に良いものを探していました。様々なサーフボードカバーやソックスを試したのですが、「これだ」と思えるものに、出会えませんでした。
そのうち、「こういうものがあればいいのにな」と、自分なりの条件が頭の中に並び始めました。
持ち続けていた違和感
サーフボードを包むものへの違和感は、長く続いていました。
サーファーなら誰しもサーフボードをじっくりと選びます。決して安くはないものですから慎重に選び、自分なりのマジックボードを購入します。
私も、サーフボードのレビューなどを参考に、慎重に調べあげ、自分の気に入ったサーフボードを手に入れます。手に入れた時は、「早くこのサーフボードで海に出たい。」と高揚感に包まれますよね。
しかし、同時にマジックボードを包むカバーに選択肢がない。という事実にも直面するのです。
ただただ、単純な問いでした。「なぜ、マジックボードにふさわしい、サーフボードカバーがないのか?」
マジックボードと同じだけの想いを注げるサーフボードカバー。それが市場に無いのなら、自分で作るしかないと思いました。
サーフボードカバーに最適な素材とは?
マジックボードにふさわしいサーフボードカバーとは?これはデザインだけの話ではありません。当然のことながら素材、縫製、加工を定義するところから始まりました。
日本の高温多湿という環境を前提に、ポリエステルを採用することは、わりと早い段階で決まりました。
悩ましかったのは、厚みです。生地の厚みを増せばもちろん丈夫になりますが、一方で面積が大きいため、重みが問題になります。強度と軽さのバランスを、随分と検討しました。
専門家と意見交換しながら、最終的に、70デニールに着地しました。触ると、驚くほど薄く、軽いです。
さらに、そこにリップストップ織りを採用しました。リップストップは普段、アウトドア用品や軍用品など、タフな状況や環境で使用されるアイテムに広く使われています。
ポリエステル繊維を格子状に織り込み、引き裂きやほつれの耐性が非常に高く、サーフボードカバーには向いている、というのが私たちの判断です。
また、生地の裏面にアクリル樹脂加工を施すことで、紫外線への耐性と撥水性を高めることができました。また、この加工は、結果として、縫製工程を一つ省くことにも繋がりました。
私の知る範囲ですが、リップストップを採用し、アクリル樹脂加工を施したサーフボードカバーは、他にはまだ見たことがありません。
表面的なデザインではなく哲学・思想を表現する
最も悩み、時間がかかったのはデザイン、Journey Lightの特徴を表現する生地の柄の検討でした。
最初は、既製の生地から探しましたが、良いと思えるものに、出会えませんでした。そこから無地に切り替えて、質感で勝負することも試しました。しかし、これも、納得できませんでした。
この段階で、生地そのものをゼロから作るしかない、と決めました。
ここから先は、私の友人でもある生産サイドのデザイナーとの会話の中で、少しずつ形になっていきました。
突拍子もない話ですが、私が好きで聴いてきた音楽は、ハードコアやパンク、ヒップホップなど。カウンターカルチャーの根底にある「破壊と再構築」、「静と動」、「空と無」。こうした相反する概念の同居こそ、私の人生訓にあります。
私たちは、単なる表面的なデザインは求めませんでした。こうした哲学を反映することが、Journey Lightを特別なものにすると考え、パターンを検討してきました。
そこから自然と和柄をモチーフにするアイデアが浮かび、「麻の葉」というシンメトリーな伝統柄が、アシンメトリーに共振し、元に戻っていく様へと結実したのです。それは、まさに秩序から自由、また秩序へと移ろうパターンへと展開していきました。
相反するものが、共存する。その思想を、一枚の生地の上で、目に見える形にできた、と思っています。
このJourney Lightを決定づけるパターンができた後、完全オリジナルパターンでの生地の生産が決まったのです。
ここから
三年かけて作った、最初のプロダクトがJourney Lightです。
今後も、不定期になりますが、このブログと、Shign のニュースレターと、Instagramで情報を発信していきます。
このどれかで、また会えたら嬉しいです。
Shign — Journey Beyond. Discover Within.
Narufumi Kobayashi
