
サーフボードの手入れ|海上がりの洗い方から長期保管前の準備まで、順番に解説
手入れでやることは、真水で洗う、しっかり乾かす、ワックスを季節で判断する。この3つです。
道具もほとんど要りませんし、海から上がって10分あれば終わります。それでも板の状態は、この10分をやるかどうかで数年後に差が出てしまうのです。
週に一度海に入るサーファーからすると、板を使っている時間は1回2時間ほどですから、残りの時間は保管ということになります。手入れは、まさに長時間にわたる保管に入る前の準備なのです。
海から上がったらやること
順番があります。塩を落としてから乾かす、という順です。
- 真水で洗う。 全体にかけて、フィンボックスとリーシュカップの周りは念入りに
- 水気を拭く。 タオルでデッキとボトムを拭う
- 日陰で乾かす。 直射日光の下に置いたまま乾かさない
塩分が残ると、フィンのネジやリーシュカップの金具が錆びてしまいます。錆びれば外れなくなりますし、次にフィンを交換するときにも困ります。海水は板の表面よりも、金属部分に対して影響するのです。
ウェットスーツを一緒に洗う人は、板を先に洗いましょう。ウェットを洗ったあとの水がかかると、砂が板についてしまいますし、ビーチのシャワーで済ませる場合も、板の下側を先に流すと砂が落ちやすくなります。
ビーチによっては、シャワーが設置されておらず、その場で洗えないことも多いです。ポリタンクに真水を汲んでおく人が多いのは、この工程を家まで持ち越さないためでもあります。もし持ち越すなら、帰宅後すぐにやることをお勧めします。塩分が乾いて結晶になると、落としにくくなってしまいます。
拭くのと乾かすのは別
タオルで拭いた直後の板は、乾いているように見えて乾いていません。リーシュカップの中、フィンボックスの溝、デッキパッドの縁に、まだ水が残っているからです。
ここを見落としたままケースに入れると、内側が湿ったままになります。湿ったまま閉じた空間に置けばカビが出ますし、しかも板そのものより、ケースやデッキパッドのほうが先に傷んでしまいます。
乾かす場所は日陰です。直射日光の下だと水は早く飛びますが、そのぶん紫外線を浴びる時間が増えてしまいます。屋根のある風通しのいい場所に、レール2点で支えて置きましょう。立てかけるなら、テールの下にタオルを敷いておくと接地している部分を守れます。
乾くまでの時間は、季節と置き場所でかなり変わります。夏の風のある日なら30分ほどですが、冬の室内だと数時間かかることもあります。自分の環境でどのくらいかかるのかを一度計っておくと、次からの段取りが決まって楽になります。
板の素材で変わるところ
洗って乾かす手順そのものは、素材が変わっても同じです。変わるのは、水が入ったときの厄介さと、修理に使う材料です。
PU(ポリウレタン)
いちばん多い素材です。フォームがポリウレタンで、表面はポリエステル樹脂で固めてあります。水が入ってもフォームの表層に留まりやすいので、乾かせば抜けることもあります。修理はポリエステル樹脂で行います。
EPS(発泡スチロール)+エポキシ
軽くて浮力があるぶん、水が入ったときが厄介です。EPSは細かい発泡ビーズの集まりですから、内部に水が回ってしまうと乾きにくくなります。傷を見つけたら、PUの板より早めに手を打ちましょう。
修理の材料も違います。エポキシの板の修理にポリエステル樹脂を使うと、傷口から露出したEPSフォームが溶かされてしまいます。 表面が塞がっている板に塗ってもフォームには届きませんが、直そうとしている場所はたいてい塞がっていません。自分で直すなら材料を確認してから、判断がつかなければショップに出すことをお勧めします。
ソフトボード
デッキがEVAなので、ワックスを塗らずに乗る人もいます。塗っていないなら、ワックスの節は読み飛ばして構いません。ただし高温には弱く、デッキ材と芯材の接着が剥がれてしまうことがあります。車に積みっぱなしにしないという点では、PUやEPSより注意が要ります。
素材がわからない場合は、板が軽く感じるならEPS、ずっしり感じるならPUというのが目安です。確実に知りたいときは、購入したショップかシェイパーに型番を伝えて聞いてみてください。
ワックスをいつ落とすか
毎回落とす必要はありません。判断は季節と、次にいつ乗るかで決めましょう。
| 状況 | ワックスの扱い |
|---|---|
| 週に1回以上乗る(夏) | 塗り足しでよい。落とすのは汚れが目立ったとき |
| 2週間以上あく(夏) | 落としたほうがいい。 高温で溶ける |
| 冬・春 | 溶けにくいので、そのままでよい |
| 長期保管に入る | 落とす。ワックスは酸化して硬くなる |
夏に落としたほうがいい理由は温度です。当社が2026年8月に実測したところ、日除けをして車の後部に寝かせた板でも、車内は52.2℃まで上がり、40℃以上が9.2時間続きました。 ワックスの融点はこれより低いところにありますから、車に積んだままなら溶けてしまいます。溶けたワックスは砂を噛んで固まりますし、次に落とすときの手間も増えてしまいます。詳しくは車に積みっぱなしにするとどうなるかに書いています。
落とし方は、ワックスコームで削ってから、残りを拭き取るという手順です。夏場は板を日向に少し置いて柔らかくすると落としやすくなりますが、置きすぎると板そのものが熱を持ってしまいます。手早くやりましょう。手順と、どこで作業するかはサーフボードのワックスの落とし方にまとめています。
長期保管の前にやること
シーズンをまたぐ、あるいは3ヶ月以上乗らないとわかっているときは、毎回の手入れに3つ足してください。
- ワックスを全部落とす。 残したまま数ヶ月置くと硬化してしまいます
- 傷を確認する。 水が入る傷があれば、保管に入る前に直しておく
- 完全に乾いてからケースに入れる。 ここで湿気を閉じ込めると、出したときにカビが出ます
傷の見分け方は、爪で引っかかるか、押して水が滲むかの2段階で判断します。判断の基準はサーフボードの傷はどの程度でリペアすべきかにまとめました。水が入る傷を抱えたまま長期保管に入るのが、いちばん避けたいパターンです。放置している間、フォームが水を吸い続けてしまうからです。
フィンは外しておくと、フィンボックスの中まで乾かせます。外したフィンとネジは、板と一緒にしておけば無くしません。保管場所は、温度と湿度が安定している室内が確実です。置き場所の選び方はサーフボードの保管方法にまとめています。
そろえておく道具、要らない道具
道具の話になると、いくらでも買えてしまいます。ただ、毎回の手入れに要るのは、真水とタオルとワックスコームの3つだけです。
| 要るもの | 用途 |
|---|---|
| ポリタンク(10〜20L) | ビーチで洗うための真水。車で移動する人はこれが要ります |
| タオル2枚 | デッキとボトム用、リーシュカップとフィンボックスの水気を取る用に分ける |
| ワックスコーム | 削る側と、エッジで溝を掻く側の両方を使います |
| フィンキー | フィンの脱着用。板を買ったときに付いてくることが多い |
長期保管に入る前だけは、リペア用のキットがあると便利です。ただし素材に合った樹脂を選ぶ必要があるので、EPSの板を持っているなら、エポキシ用と明記されたものかどうかを確認してから買いましょう。
要らないものも書いておきます。洗剤、高圧洗浄機、ワックスリムーバーのスプレーは、毎回の手入れには不要です。リムーバーは長期保管前に一度使う程度で足ります。メンテナンスの道具は、増やすほど手入れそのものが億劫になってしまうものです。
やってはいけない手入れ
洗剤や高圧洗浄機を使う
真水で足ります。洗剤はデッキパッドの接着を弱めますし、高圧の水はフィンボックスの縁を傷めてしまいます。汚れが落ちない場合でも、スポンジと真水で時間をかけるほうが安全です。
濡れたままケースに入れる
ケースは水を閉じ込めてしまいます。内側が乾かないので、カビの温床になってしまうのです。急いでいるなら、せめてリーシュカップとフィンボックスの周りだけでも拭いておきましょう。
日向に置いて乾かす
早く乾きますが、その間ずっと紫外線を浴びていることになります。デッキ面から先に黄ばんできます。
傷を見つけても、そのまま次のセッションに行く
爪が引っかかる程度の傷でも、フォームまで届いていれば水は入ります。1回のセッションで致命傷になることは少ないものの、それを何回か重ねるうちに板は重くなってしまいます。
手入れをしないとどうなるか
すぐには何も起きません。変化が出てくるのは、数ヶ月から数年という単位です。
塩分を残した金具は錆びて、フィンが外れなくなります。ワックスを残したまま夏を越えた板は、表面が硬く黒ずんでしまいます。湿ったまま覆った板は、ケースの内側にカビが出ます。水が入る傷を放置した板は、数十グラム単位で重くなりますし、放っておけば乗り味も変わってきます。
どれも一日で起きるものではありません。だからこそ、海から上がって10分の手間を毎回やるかどうかが、あとになって差になってくるのです。
よくある質問
洗ったあと、どのくらい乾かせばケースに入れていいですか
目安は、夏の風のある屋外なら30分ほど、冬の室内なら数時間です。ただし判断は時間ではなく、リーシュカップの中とフィンボックスの溝に指を入れて、湿り気が残っていないかで決めるほうが確実だと思います。なお、この時間について当社はまだ実測していません。 あくまで目安として受け取ってください。
フィンは毎回外したほうがいいですか
毎回は要りません。外すのは、長期保管に入るときと、フィンボックスの中に砂が入ったときの2つで足ります。外したついでにネジの錆をチェックしておけば、固着にも気づけます。
ワックスは冬でも落としたほうがいいですか
冬は溶けないので、そのままで構いません。落とすのは、汚れて黒ずんできたときと、長期保管に入るときです。
中古で買った板は、最初に何をすればいいですか
まず全体を確認しましょう。爪が引っかかる傷と、押して水が滲む箇所を探します。前の持ち主のワックスは一度全部落として、フィンボックスとリーシュカップに砂が残っていないかも見ておきます。修理が要る傷を先に把握しておけば、乗り始めてから慌てずに済みます。
Shignの場合
Shign の Journey Light は、ショートボード用のボードケース(ソフトカバー)です。
Journey Light(Hemp Indigo / Premium Black)。生地は一枚の中で柄が移り変わるように織られているため、同じカラー・同じサイズでも一点ごとに柄の出方が違います。
手入れをしてから入れる前提の製品ですので、洗って乾かしたあとの保管でこそ役に立ちます。乾かした板を掛けておけば、次に使うまでのあいだに埃と擦れが積み上がるのを防げます。
生地は70Dリップストップ・ポリエステル100%で丈夫です。リップストップ織りが引き裂きの広がりを抑え、裏面のアクリル樹脂加工によってワックスが染み込みにくい処理を施しています(ワックスの染み込みを完全に防ぐものではありません)。撥水と紫外線の劣化防止は後加工ではなく生地レベルで備わっていますので、板を日焼けから守る役割もあります。ファスナーのないスリップオン式で、重量は約450g。海から戻ってさっと掛ける動作に無理がありません。
何よりもユニークなデザインが特徴です。和柄の麻をモチーフにした生地は、シンメトリーからアシンメトリーへ移り変わる大きな一枚として織られていて、そこから切り出すため一点ごとに柄の出方が違います。人と同じものは選びたくない、という方にぴったりのサーフボードカバーです。
対応サイズはShort(〜6'4"/193cm)で、Mid・Longは計画中です。
濡れたまま入れると内側が乾きませんので、そこだけは拭いてからにしてください。




